あれだけ美しかった海は、吸い込まれそうな闇に変わった。深く、暗く、数メートル入っただけで何かに引きずり込まれそうだ。
圧倒的な美しさと恐怖。普段生きている社会は世界の一部に過ぎないということを実感する。海に来ただけでこれだ。宇宙にでも行こうものなら、聖職者になれるくらい達観するだろう。
俺は砂浜で一夜を過ごすことに決めた。学校のカバンを枕にして、MP3プレイヤーでthe pillowsの『ride on shooting star』を聴く。辺りには誰もいない。だだっ広い砂浜に俺1人だ。
涼しい海の風と少しの不安感が、汗ばんだ身体を冷やしていく…。