前回の続きになります。
ももクロは物語という人がいます。
少年漫画好きの僕としては、物語というより、ジャンプ黄金期バリバリの少年漫画にしか見えないのです。
女の子、しかもアイドルなのに、少女漫画でなく、少年漫画を想起させるという。
ベタな少女漫画のパターンとして、どうみても可愛い女の子が、普通の子という設定で、学校を支配しているイケメン集団に「こんな女見たことない…」とか言われ溺愛されるのがあります。
(まあ、男性向け萌え系漫画もこんなパターン多いですよね。冴えない男がハレーム状態になるってパターン。)
それとは違い、ももクロの物語は、少年漫画の3大原則である、努力、友情、勝利そのものなのです。
そして、少年漫画を構成する上で、一番大事な要素である主人公。
今回は、ももクロ少年漫画の主人公、百田夏菜子が、いかに少年漫画の主人公かについて、①外からやってくる主人公、②愛されるバカ、③仲間からの絶対的な信頼感の3つの主人公特性を踏まえて書きます。
3章 ももクロの主人公
1節 『外』からやってくる主人公
少年漫画の主人公でありがちなのが、転校生パターンです。
キャラが多すぎてよくわからなくなることで有名な高橋ヒロシ先生の『クローズ』、『WORST』の主人公は転校生というパターンです。そして、高橋ヒロシ先生が溺愛し、フィギュアがやたら売れるという花木九里虎も鈴蘭に転校してきた不良です。
- 作者: 高橋ヒロシ
- 出版社/メーカー: 秋田書店
- 発売日: 2012/12/19
- メディア: Kindle版
同じ不良漫画で、名作と言われる『今日から俺は!!』の主人公も転校生という設定です。主要キャラの中野という不良も、これまた転校生。
- 作者: 西森博之
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2014/07/14
- メディア: Kindle版
さらに言えば、今や『アイオホノオ』で有名な島本和彦先生のデビュー作は、『炎の転校生』。
- 作者: 島本和彦
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2013/06/10
- メディア: Kindle版
転校生という設定以外でも、トンデモ三国志の龍狼伝では、現代の中学生である主人公が三国志の世界にタイムスリップするというのもありますし、スラムダンクの桜木花道も、バスケ部とは無縁の『外』からやってきた主人公。
- 作者: 山原義人
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2012/09/28
- メディア: Kindle版
例を挙げるとキリがありませんが、それまでの日常を打ち壊す外からやってくる主人公という少年漫画の話の組み立て方があります。
それまで平凡な日常だったのが、外から突然やって来た主人公が非日常にし、物語となるというパターン。
ももクロのメンバー、また主要なスタッフは関東圏出身ですが、百田夏菜子は『茶畑のシンデレラ』というキャッチフレーズがあるように、静岡県出身。
QJ(クイック・ジャパン)での、百田夏菜子の母親の話があります。
- 出版社/メーカー: 太田出版
- 発売日: 2013/08/10
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
「毎日、楽しい。 もう楽しいしかない!」 て言ってました。
都会だとみんな夕方には家に帰ると思うんですけど、こっちの子はみんな本当に暗くなるまで外で遊んでいるんですよ。
夕方じゃなくて、完全に夜になっても近所の子たちが遊んでる声がワーワー聞こえてきますから。
そんな生活を毎日送ってましたから、常に真っ黒でした。ほんとに田舎で育った子って感じですよね。
『 QJ109号』
日照時間が長い静岡で、のびのびと育ち、どこか昔を感じさせる夏菜子が東京に出てきて、都会で育った今風の女の子のグループに入ります。
田舎と都会。昔と今。
これはまさに、少年漫画でよくある主人公のパターン。『外』からやってきた主人公なのです。
2節 バカリーダー
売れる少年漫画の鉄則として、愛されるバカが主人公のパターンが多いです。
『ドラゴンボール』の悟空も、『ワンピース』のルフィも、『幽遊白書』の遊助も、キン肉マンも、、、
ホントにキリがありませんが、こういう馬鹿だけど天才、理論より感覚というキャラが主人公の少年漫画はよくあります。
現実世界で言えば、長嶋茂雄のような人です。
ちなみに、こんな本もありました。
バカと笑われるリーダーが最後に勝つ トリックスター・リーダーシップ (SB新書)
- 作者: 松山淳
- 出版社/メーカー: SBクリエイティブ株式会社
- 発売日: 2013/09/26
- メディア: Kindle版
グループのリーダーは、愛されるバカがいいと僕も思います。
そして、百田夏菜子は間違いなく、このバカリーダーです。
ももクロのチーフマネージャーであり、育ての親である川上氏が、『キン肉マン』のゆでたまご先生と対談をしたという記事(“ももクロ名物マネージャー”川上アキラさん、ゆでたまごと熱血トーク!「百田=キン肉マンは譲れない!」)があるんですが、タイトルの時点で「百田=キン肉マンは譲れない」と書かれてますし、
と、記事の中で語られてます。
メンバーも、周りのスタッフも「百田夏菜子はバカ」と何度も言ってます。
それが分かる動画が、↓です。
他のメンバー(高城れに、玉井詩織)と一緒にテレビ番組で「一番、野心あるのは?」と聞かれ、「ヤシンって何?」とみんなが言っているので、他のメンバーも言ってしまえばバカなんですが、その中でも、断トツでバカなのが百田夏菜子です。
スフィンクスを描けという企画があり、「半分が人間」というヒントが出されて、百田夏菜子が描いたスフィンクスが↓です。
しかし、普段、夏菜子をバカ扱いしている有安杏果(ももか)と高城れに(れにちゃん)がラジオで「ホント、夏菜子は天才だと思う」と言ってます。
山里亮太も「バカだけど、決めるとこでめちゃくちゃカッコよく決めるんだよ」とラジオで言ってます。
確かに、ライブでのコメントでも凄く魂を揺さぶることを普通に言うんですよ。
本当のバカなら、国民的アイドルのももクロのリーダーにはなれませんし、そもそも、ももクロがここまで大きくなってないと思います。
このバカなのに天才、野生の思考が少年漫画の主人公の特徴と一致しているのです。
猪木が「バカになれ!」と言ってますが、元からバカなのが百田夏菜子。
バカだけど凄まじいポテンシャル、カリスマという、正に少年漫画の主人公が百田夏菜子なのです。
3節 仲間からの絶対的な信頼感
数いる芸能人モノノフの中で神と呼ばれるパーケン(キングオブコメディの高橋)が、ももクロの極楽門ライブでの、百田夏菜子の話をしている動画があります。
2節で書いた百田夏菜子はバカリーダーの話と被りますが、
百田夏菜子さんが、「この手離さないでっ!」って最高の言葉を喋ったのに、最後ヒョコヒョコかっこ悪く帰っていくんだよ。
その感じが間抜けでさ。ホントにいいバカだなって思うんだよ。
ホントにダメダメなリーダーなのよ。
それでいながら、最後時間の都合で、ダブルアンコールがあったんだけど、どうしても出れない。
もう、緑の杏果さんなんて、泣いちゃってんのよ。「みんなのとこ出たい」って。
でも、出れないのよ。会場の都合で。
で、一言、マイクで、どうしても出れないってこと伝えてってスタッフさんに言われるわけよ。
そしたら、みんなが「夏菜子!夏菜子!」って、一斉にそのダメリーダーにマイク渡すわけよ。
そのダメなんだけど、全幅の信頼があるんだよ。
普段スゲー、バカにされてるわけよ。「ダメだな〜、バカだな〜」って言われてんだけど、そん時直ぐに、「夏菜子!夏菜子!」って。
俺マジ、湘爆(湘南爆走族)の江口みてえだなって思ったよ。普段バカにされてるんだけど、仲間からは絶対の信頼を受けてるとこが。
- 作者: 吉田聡
- 出版社/メーカー: 少年画報社
- 発売日: 1983/06
- メディア: 新書
ここに古参モノノフの貴重な記事があります。
第9回:イトウさん編 – TOWER RECORDS ONLINE
夏菜子は本当に誰もが応援したくなるような子と語っています。
少年漫画で、主人公が「あの子には、まわりをそうさせる力があるんです。不思議な子です。」と言われ、仲間を増やしていくパターンがあります。
正に百田夏菜子はそれなんです。
ももクロがアウェイで違うジャンルのファンを増やしているのも、この百田夏菜子の性質が影響していると思います。
あと、百田夏菜子について、〇〇な人と答える企画がありました。
メンバーの佐々木彩夏(あーりん)と有安杏果(ももか)は、百田夏菜子を太陽のような人と答えてます。
新津保健秀(写真家)は、陽だまりのような人と、振付師の石川ゆみ先生は、真夏と真冬の太陽のような人と。アンジャッシュの児島さん、作曲家の渡邉美佳さんも、太陽のような人と答えてます。
太陽というのは中心であり、エネルギーが生み出される場所。
周りから信頼されているリーダーでないと、絶対にこんなことは言われません。
ちなみに、太陽の次に多かったのが、主人公のような人という答えでした。
そうなると、もはや百田夏菜子は主人公という説は、僕の勝手な妄想でなく、ある程度の信頼はあると思われます。
3章まとめ
百田夏菜子がいかに少年漫画の主人公の特性を持っているかについて、3つの視点から書いてきました。
少年漫画の主人公の特徴は様々ありますし、時代によって違うものだと思いますが、主にジャンプ黄金期の主人公の特徴は、こんな感じだと思います。
次はももクロという少年漫画についてです。
夏菜子の神格化に対し、色々意見がある方もおられると思いますが、ご了承してください。
彼女のバカの原因は障害の一つであるディスレクシアです。彼女は典型的なディスレクシアです。漢字を読めない、書けない、会話で頓珍漢なやり取り、朗らか、本人はバカをさほど苦にしていない、あっけらかんとしている、コミュニケーション能力が高い(不思議なことに人に好かれやすい。安心感を与えるから?)、やさしい、いわゆる仕事はできる(ただ読み書きが苦手、数字も苦手)などが症状です。夏菜子にはこれに加えて卓越した運動能力、常人は目を見張るほどの身体の柔軟さ(新体操経験者の間では普通)、高音による歌唱が可能、芸能人レベルの美貌・かわいさが、物おじしない、ダンスが得意、自己主張が明確などが今のももクロの人気の支柱となっているリーダー百田夏菜子の人となり、人間的魅力の構成要素と言えるでしょう。